佐伯画廊さん

佐伯画廊さん
サムネ:佐伯画廊.jpg
シリアスで重厚な作風が持ち味。
代表作は「退治屋vsマダム・バタフライ編」です。
1話が50pを超えることも多い大長編は、星の政治ひとつを巻き込んだ大事件でした。
マダム・バタフライとの対立を描くこの作品は
普通ならモブとして扱われる人々の生き様も同時に描かれるのような一面もある大作。
さらに、全編オールカラーという大胆な表現方法で
退治屋企画の存在をまだ知らない人にアピール!

現在完結している退治屋ストーリー作品の最新作の連載を終えられた、
佐伯画廊さんにインタビューしました!

※インタビュー中の太字部分は「蒼」のコメントです。


マダム・バタフライ編を描こうと思ったきっかけは何ですか?

退治屋でストーリーマンガを描きたいと考えていて、
ビジュアル的にSFっぽさを全面的に押し出したものにしようと思いました。
マンガは色を想像させるという面白さがあると思いますが、
今回は色にこだわりたい箇所がいくつもあったのでフルカラーという形になりました。

――公開時、フルカラーというだけでも相当話題になっていましたね。
佐伯さんの漫画は普通の人よりページ数が多めなので、読み応えも抜群ですし。


実はマダム・バタフライというキャラクターは
以前から~「退治屋稼業」というコミュニティを知る以前から~
ある程度出来上がっていました。
インタビュー:佐伯画廊さん:ミーナvsバタフライ.JPG
白っぽい天使を思わせるキャラと
機械の羽根で飛び回る黒い悪魔的なキャラが空中戦を繰り広げる…
そんなイメージだけが先行していました。
退治屋の存在を知ったときに「この企画でいこう!」と思いました。
まさにミーナがバタフライと対峙する天使のイメージにピッタリだったのです。
(そこからシナリオを書き進めて最終的にああいう形になったわけですが、
ひょっとするとバタフライは完全なる悪役で終わっていた可能性もあったわけですね^^)

――シナリオより先にバタちゃんの方がいたというのは意外でした。
とても重い設定を背負っているキャラなので、シナリオから生まれたキャラだと思っていましたよ。


カイザーを描くときに注意したことはどんなことですか?

インタビュー:佐伯画廊さん:カイザー.JPG
不真面目で女好きでバカっぽい銃の使い手という真髄を崩さないように^^。
自分の中の彼のイメージを損なわずに描けたと思います。
設定にはない2丁拳銃にして派手さをアピールしました。

――確かに、カイザーのイメージは既に「不良系の王道主人公」で定着している感がありますね。
使う銃は作者さんによって違いますが、佐伯さんは武器そのものをたくさん登場させていましたし、
カイザー専用バイクも出てきたりと、とにかくど派手な印象が強く
二丁拳銃はなんだか当たり前のように見てしまっていました。
今度読むときは、両手に注意するようにします。

インタビュー:佐伯さん:カイザーバイク.JPG
終盤に活躍したカイザーのバイク。蒼炎のペイントが印象的だ。


フェイスを描くときに注意したことはどんなことですか?

インタビュー:佐伯画廊さん:フェイス.JPG
とにかくクールに。カイザーとは対照的に余計なことは一切しゃべらず、みたいな^^。
緑の髪がトレードマークだったりするのですが、今回は全体的に黒で統一しました。チャラ男みたいに見えちゃうかな、と思って。
ですがイラストで緑の髪で描いてみたら「あ、そーでもない」って思ったので、次回は緑で描くかも。
剣術シーンはクールさを保ちながら素早く、をモットーに^^。

――コートが凝っていると思ったらインナーも凝っていて
「今回のフェイス、大人しいけど意外とお洒落だ」と思ったりしました。
カイザーとの共闘シーンが多かったですが、淡々と剣を振る姿は確かにクールでしたね。

インタビュー:佐伯さん:フェイス2.JPG
シンプルな台詞ほど、弱った心に優しく響くもの。


ミーナを描くときに注意したことはどんなことですか?

インタビュー:佐伯画廊さん:ミーナ.JPG
今まで皆さんが描かれた人間性と一番印象が違ったのがミーナだったのではないでしょうか。
やんちゃで男勝りで暴言も吐いて…やや暴れん坊のイメージが強いキャラとして描きました。
特徴である羽を存分に使って縦横無尽に飛び回る元気いっぱいの女の子。
猫手猫足も特徴ですが、手袋の下がどうなってるのか、
あのシューズっぽい履物の中がどうなってるのかをぼかした感じにしています。
おもいっきり猫ではなく人間に近づけたイメージにしています。

――男勝りだったところが、一番の違いかなと思います。
他の要素はどこかで見たミーナだけど、男の子っぽい一面はありそうでなかった。
そして確かに、ニャニャ星人であることより、人間種の一種であることが印象的だった気がします。
インタビュー:佐伯画廊さん:ミーナ2.JPG
明らかにヒューマン型とは違う種である「ネオ・コロボックル」に語りかけるミーナ。


マダム・バタフライを描くときに注意したことはどんなことですか?

インタビュー:佐伯画廊さん:バタフライ.JPG
ミーナとは対照的な大人の女のイメージで。
鉄の羽を背負って服もボンテージを連想させ全体的に黒光りで。
目もミーナとは違う切れ長で冷酷さを感じさせる顔つきにしました。
イメージとしてはバットマンに登場する敵キャラのような感じでしょうか。

――ミーナは羽根も自前で柔らかそうですが、
バタフライは機械で身体を固めた硬そうなイメージですよね。
序盤は容赦ない描写もあるので、まさか和解するなんて、という驚きはありました。


退治屋の世界観や空気感を出す時に、意識した部分はどんなところですか?

インタビュー:佐伯さん:世界観とミーナ.JPG
自分がやりたかった退治屋は「スター・ウォーズ」の世界観に近いです。
どこかの星の物語。不思議な生き物やマシンが横行する世界。
ちっちゃいこだわりとして地球上に現存する文字を使用しないこと。
3Dを多様していますが、あくまでも主役は彼ら。
彼らの性格、人間性を前面に出したかった。

――その3Dがほとんど自作というのにも驚きましたが、
事故でそれが失われてしまったというのも驚きました。
連載が終わったら「バタフライ編・コレクション」とかあっても面白そうだったのに(笑)。
そのくらい3Dが多く出てくる作品ですが、その3Dはあくまで背景だと。渋いですね。


オリジナルキャラ、マダム・バタフライを描くとき、退治屋作品として意識した部分はどんなところですか?

ほかのキャラとかぶらないように…という意識はありました。
ある意味特異なのは「マダム・バタフライ」はあだ名だということ。
ほかのキャラにはない武器を所有することも特徴にあげられるかもしれません。
いずれにしろバタちゃんも退治屋キャラの中の一人として見ていただけたら嬉しいです。

――SWAT所属キャラと同じくらいか、それ以上に鉄で身体を固めていますもんね。
その上で露出ありなので、確かにかなり変わっているかも。
バタちゃんが退治屋キャラというのは、和解した時点でなんとなくそんな気がしました。
「完結したら、誰がバタちゃんを使うのかなぁ」と想像したりとか。きっと頼れる助っ人ですよ。

インタビュー:佐伯さん:バタフライのその後(蒼).JPG
バタちゃんにも無限の未来が待っている。
ストーリー漫画でもギャグ漫画でも、どんどん登場させちゃいましょう!


退治屋長編作品を描いてみた感想を教えて下さい。

とにかく楽しかった!面白かった!
しかも皆さんからたくさんのありがたいコメントもパワーもいただきましたし。
また、ある程度のシチュエーションが決まっているという枠組みが
様式美というか形式美みたいなものを生み出していたのかも…。
つまり俳句や川柳のように定まった型の中で自分を生かす面白さ…かな?
もともと自分の作ったキャラではなかった彼らが自分色に染まっていく、っていう感じ。
描き続けるにつれキャラ達がどんどん生き生きとしていった気もしました。
そしてますます彼らを愛おしいと思うようになりました。
長編を終えて「完結出来て一安心」という気持ちもありますが、
まだまだ退治屋に関してやりたいことは山積みです。

――枠組みの中でキャラを生かす面白さというのは、本当、企画もののキャラを動かす醍醐味だと思います。
マダム・バタフライ編は現時点では退治屋最長の作品ですから、
ついキャラ達のことも「佐伯カイザー」とか呼んじゃうくらい、
彼らの新しい個性が見えてきたりもした気がします。


その他、今後退治屋作品を描くメンバーさんへのアドバイスや、佐伯さん自身の意気込みなどを教えて下さい!

いろんな人から影響を受けて出来た作品でもあったのでアドバイスなんておこがましいのですが、
やっぱり「自分の退治屋作品を描く」っていうことにつきるのかもしれません。

私自身が意識していたのは「お手本通りに描かない」ということ。
誰かの作品に似せて描くのはつまらないし、自分らしさもなくなる。
むしろ一風変わった退治屋が出てくると新たな発見もあったりするかも。

――敢えてルールの境界線ギリギリを突っ走り、自分の作風で描き、企画の新しい可能性を提示する。
佐伯さん自身が「退治屋の中では掟破り」と言われるカイザー達みたいなことをやってらっしゃったんですね。
「企画に対する考え方」は、私と佐伯さんの意見が逆…というよりは対になっているので、驚きました。


なので「マダム・バタフライ」も「○○さん風味」で
好き勝手に描いていただけたら嬉しいです。僕もいろんなバタちゃんが見たい!^^!

今後(出来れば近いうちに)僕のオリジナルではない退治屋キャラも
ジャンジャン描いていきたいです。「佐伯風味」で。

――バタちゃんはもう自由です!
きっと、彼女にも平穏な日々や新しい冒険が待っているはず。


その他、佐伯さんが「これは答えたい」と思われる事項があれば、質問に無いこともどんどん語って下さい!

「『退治屋稼業』っていうプロジェクトがなんだか面白そう」っていう方が増えてくださると嬉しいですよね。
今回の連載では退治屋に携わってこられた方たちをニンマリさせる小ネタも交えました。
と同時に知らない人でも意味がわかるような物語を綴りたいという気持ちもありました。
もし自分のつたない作品を読んで
「自分ならこんな退治屋を描くぞ!」
という気持ちがわきあがってきたりしたら嬉しいなと思いました。

――退治屋にしては物語が独立している、と見せかけて実は相当過去作ネタが入っていますよね。
私が以前描いた漫画のネタも入っていたので、私もニンマリさせられたひとりです。
そして実際「マダム・バタフライ編」への注目が気になって人の動きが変わった時期があったような気がします。
きっと、ある程度の集客には成功しているんじゃないかなと。
そしてお話として独立しているので、たぬくまさんの~すべてのはじまり~とあわせてお勧めできるお話ですよね。
ちょっと長いので、時間のある人向けではありますが。


嬉しいことに退治屋の火が消えていく気配がまったく無いので、
また新たに自分の創作魂(?)にも火が付きそうです。
ありがとう退治屋!^^!

――本当、また勢いが復活してきて、嬉しいことですよね!


まとめ

自分らしく、退治屋作品らしく、というふたつの問題を
並べて境界線を引いて考えずに「自分の方に引っ張ってくる」という考え方で
大長編を見事完成させた佐伯画廊さん。
あれほどまでに長い話となると、確かに「自分流」を通さないと厳しいかも…?
しかしどこまで自分らしく描いても、それが「退治屋」に見える。
「退治屋って何をする企画?」と聞かれたときに
ついメンバーさんが「カイザー達さえ使えば、何をしてもいい企画」と答えてしまうのも
自分らしさをここまで追求しても「退治屋作品」になってしまう
カイザー達のキャラの深さが原因かも?
これから作品の制作を考えている方も「カイザー達が何者か」考えるときに
「カイザー達に何をして欲しいか、何をさせたいか」を考えると、逆に本質に近づけるかも?
作者の数だけ、カイザー達もいる!

マダム・バタフライ編の「もしかしたら」も聞けてちょっとお得だった気もするインタビューでした。

佐伯画廊さん、ご協力ありがとうございました。

(蒼)

  • 最終更新:2016-02-10 15:38:55

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